
生徒がインタビューをしたいと言うのですが、どこまで準備させればいいのか分からなくて…。

準備が足りないと、相手にも迷惑をかけてしまいます。
場面ごとの声かけをまとめてみました。
探究学習で、生徒が外部の方にインタビューをする。
とても価値のある活動です。
しかし同時に、準備不足のまま相手に会いに行くと、相手にも生徒にも良い結果を生みません。
「インタビューをすること」自体が目的化してしまい、調べれば分かることを聞いてしまう。
そのような場面も少なくありません。
一方で、安全面を気にするあまり、教員が外部に出ることのハードルを上げすぎてしまうこともあります。
それでは、生徒のやる気の火を消してしまいます。
今回は、インタビューの場面で使える声かけを20個まとめました。
準備から事後まで、生徒の状態に合わせて使ってみてください。

前回の文献調査編に続く、声かけ事例シリーズの2本目です。
▼文献調査の場面での声かけは、こちらの記事で紹介しています。
なお、インタビュー本番に教員が同席することは、ほとんどありません。
ここで紹介する当日の場面は、帰ってきた生徒が話してくれたことから見えてきたものです。
だからこそ、準備の段階で何を伝えておくかが大切になります。
高校の数学教員として15年以上授業を行っています。
ただ学習内容を教えるのではなく、「学び方を教える」をモットーに授業作りをしています。
探究学習では、生徒が自分の問いと向き合う個人探究を中心に、外部連携も交えながら学びづくりに取り組んできました。
準備段階でのつまずき
① 「インタビューありき」になっている
インタビューをすること自体が目的になってしまい、何を聞きたいのかが曖昧なまま進もうとする状態です。
このまま会いに行けば、相手の時間を無駄にしてしまいます。
まずは、なぜその人に聞きたいのかを確認します。
この問いに答えられるかどうかが、準備ができているかの目安になります。
文献や書籍を読んでいなければ、この問いには答えられません。
あるいは、その人の発信やYouTubeを徹底的に追いかけているのであれば、それも立派な準備です。
② 誰に聞けばいいか分からない
話を聞きたいテーマはあるが、相手が見つからない状態です。
文献調査をしっかりしていれば、自然と「この人に聞きたい」が出てきます。
相手が見つからないのは、調べが足りないサインでもあります。
③ 調べれば分かることを聞こうとしている
質問リストに、検索すればすぐ出てくる内容が並んでいる場合です。
インタビューは、調べても分からないことを聞いたり、調べたことを深掘りしたりする場です。
文献調査で得た知識の上に、質問を組み立てていけるような支援が必要です。
④ 質問が多すぎて整理されていない
インタビュー用のワークシートを見ていると、質問が散乱していることもあります。
これでは、体系的に聞けず、深掘りもできません。
聞きたいことの順番が決まっていれば、時間が足りなくなっても、大事なところは聞けます。
⑤ 相手からの逆質問に答えられない
「君はどう思うの?」と聞かれて、困ってしまったという話を事後に生徒から聞いたことがあります。
インタビューは一方的に聞く場ではありません。自分の考えを持って臨むことが、相手への礼儀でもあります。
事前に相手を知り、自分の考えを持っておく。
これがあると、当日の対話が深まります。
アポイントを取る段階でのつまずき
⑥ 連絡の取り方が分からない
メールなのか電話なのか、どう書けばいいのか分からない状態です。
メール、電話、オンラインミーティングの設定方法は、それぞれ指導しておきます。
社会に出てから必ず使うスキルでもあるからです。
大切なのは、設定は必ず生徒本人にさせることです。
教員が代わりにやってしまえば、その学びは失われます。
CCに教員を入れておけば、やり取りを把握でき、トラブルも防げます。
⑦ 断られて心が折れる
一件断られただけで、諦めてしまう生徒がいます。
断られるのは当たり前だと、事前に伝えておくことが大切です。
実際、粘って連絡を取り続けた結果、素晴らしい話を聞けた生徒はたくさんいます。
そのような先輩たちの事例を持っているのが教員の強みなのです。
数件で諦めさせないことが、教員の役割でしょう。
⑧ 同じ相手に何人もアポを取ってしまう
ここは生徒のつまずきというより、学校として管理しておきたいことです。
同じ学校の生徒が、同じ方に何度も依頼をしてしまう。
これは相手に失礼ですし、学校の信用にも関わります。
そこで、学校としてインタビュー先を把握しておくと、重複を防げます。
スプレッドシートなどで共有をしておくシステムを作っておきましょう。
そしてこの仕組みには、副次的な効果もあります。
それは、同じ関心を持つ仲間を見つけられることです。
なかには一人で会いに行くのが不安な生徒もいます。
そのようなときには、こう声をかけます。
複数人で行けば、質問の役割分担もできますし、記録も取りやすくなります。
⑨ 時間配分ができない
30分の予定なのに、最初の質問だけで20分使ってしまう、相手の予定を超えてしまうなどもあります。
まず、どれくらい時間をもらえるのかを事前に確認しておきます。
時間が分かれば、④で決めた優先順位が活きてきます。
相手の時間を大切にすることも、インタビューの礼儀です。
安全面の確認
⑩ 保護者の確認が取れていない
ここからの2つは、教員が責任を持って押さえるべきことです。
校外で人に会う以上、保護者への確認は必須です。
ここは必ず押さえます。
なお、探究でフィールドワークやインタビューが頻繁に行われる学校では、年度当初に保護者の同意書をまとめて取っておくという方法もあります。
都度の手続きが減り、生徒が動きやすくなります。
⑪ 安全面が心配で、教員が止めたくなる
これは生徒ではなく、教員側のつまずきです。
そして、最も難しいところかもしれません。
学校としては、何か起きたときの責任を考えます。
しかし、そればかりを気にしていると、生徒のやる気の火を消してしまいます。
「それ聞いて意味あるの?」
こうした一言で、生徒の挑戦は止まります。
本人は聞きたいのです。
学校が面倒を避けたいという理由で、生徒の学びを止めてはいけません。
大切なのは、禁止するのではなく、安全に実現する方法を一緒に考えることです。
相手がどのような方であっても、場所と時間の確認は必ず行います。
万が一を想定しておくことが、生徒を守ることにつながります。
特に女子生徒の場合は、より丁寧に確認したいところです。
オンラインであれば、この点の心配はかなり減ります。
対面が難しい場合の選択肢として考えてもよいでしょう。
⑫ 対面かオンラインか迷う
遠方の相手や、日程が合わない場合はオンラインで実施する選択もあります。
基本は相手の都合が優先です。
その上で、可能であれば対面の価値は大きいと伝えます。
当日に備える
⑬ 緊張して、質問を読み上げるだけになる
用意した質問を順番に読み上げて終わってしまうのは、よくある話です。
事前にワークシートで、聞きたいことを整理させておきます。
そして、半構造化面接という考え方を教えておくと効果的です。
大枠の質問は決めておきつつ、相手の答えに応じて柔軟に広げていく手法です。
この考え方があれば、想定外の答えが返ってきたときも、固まらずに対応できます。
▼半構造化面接については、こちらの記事でも紹介しています。
⑭ 話が広がらない
一問一答で終わってしまい、深掘りができない状態です。
これは当日だけの問題ではなく、日々の授業で練習しておくことが大切です。
グループでの発表と質疑を日常的に行っていれば、質問する力は自然と育ちます。
発表を聞いたら必ず質問する。
このルールを普段から徹底しておくと、インタビューの場面でも活きてきます。
▼グループでの対話については、こちらの記事でも紹介しています。
⑮ 記録が取れない
聞くことに必死で、メモが残らない。
あるいは録音の許可を取り忘れる。
基本は手書きでメモを取りますが、録音や録画ができれば後から確認できます。
複数人で行く場合は、聞く人と記録する人を分けるのも有効です。
⑯ 話が専門的すぎて理解できない
相手の話が難しく、その場で分からなくなることがあります。
特に大学の先生への質問は、学術的なことが多く生徒にとっては難しい言葉も多いです。
その場で質問できるのが理想ですが、何度も聞き返すのは相手の時間を奪います。
分からなかったことは探究の種となります。
帰ってからそれを調べれば、次にやることが自然と見つかります。
勇気を出してアクションを起こした生徒に、「探究でやることがない」という状態は、生まれません。
事後のつまずき
⑰ 聞いた内容が仮説と違った
期待していた答えが得られず、どうしていいか分からなくなる生徒がいます。
これは、むしろ素晴らしいことです。
自分の考えが強化されるインタビューも良いですが、反論されたり、違う視点をもらったりすることも同じくらい価値があります。
「ちょっと違うんじゃないか?」という違和感から、探究はさらに深まっていきます。
⑱ 聞いた内容を整理できない
話は聞けたが、そこから進めない状態です。
記憶が新しいうちに、構造化して整理させます。
日頃からポートフォリオを作っておくと、文献調査も含めて、探究の記録が一つにまとまっていきます。
⑲ お礼と、次につなげる確認
お礼はメールで丁寧に伝えます。聞いた内容と、自分がどう感じたかを添えると、相手にも喜ばれます。
そして、次につなげる確認をインタビューの最後にしておくよう伝えます。
対面で会えたなら、名刺を交換しておくと、その後のつながりも生まれます。
高校生が名刺を持っていると、相手にも驚かれ、印象に残ります。
⑳ 発表での掲載許可を取っていない
ここも、教員が声をかけて確認しておきたいことです。
聞いた話を発表資料やポスターに載せることは多いでしょう。
ここで見落としがちなのが、掲載の許可です。
名前を出していいのか、所属を書いていいのか、写真は使えるのか。
相手によっては、社外に出せない情報が含まれていることもあります。
その場で聞きそびれたら、お礼のメールで確認すれば大丈夫です。
事後でも遅くありません。
(番外)インタビュー自体が難しい生徒には
人前で話すのが苦手、あるいは聞きたいことがまだ固まっていない。
そのような生徒も少なからずいます。
そのようなとき、無理にインタビューをさせる必要はありません。
セミナーや講演会であれば、相手が用意した場なので、アポイントも不要です。
質疑応答の時間に一つ質問するだけでも、立派な一次情報の収集になります。
ここから自信をつけて、次はインタビューに挑戦する生徒もいます。
まとめ:ハードルを上げず、安全に外へ
今回は、インタビューの場面で使える声かけを20個紹介しました。
改めて整理します。
インタビューは、生徒が社会と直接つながる貴重な機会です。
だからこそ、準備を丁寧にすることが、相手への礼儀になります。
しかし同時に、準備を求めるあまり、外に出るハードルを上げすぎないことも大切です。
「データを何件集めたか」「本を何冊読んだか」で判断すると、生徒はやる気を失います。
判断するのは、生徒との対話です。
「どうしてその人に聞きたいの?」
この問いに、自分の言葉で答えられるか。
そこを見るのが、教員の腕の見せどころだと思っています。

今回はインタビュー編でした。
他の場面も、順次まとめていきます。
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