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【教員向け】産休を「キリよく」取るのはちょっと待って!損をしない産前・産後休暇の取り方

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この記事で分かること
中堅先生

教員をしている妻の妊娠がわかり、夫婦で産休の取得時期を考えています。
妻の学校では「キリよく1学期が終わってから」という雰囲気があるようで…。

きょういち

ちょっと待ってください!
産前休暇の開始を遅らせると、損をしてしまう可能性があります。
制度を正しく知った上で、取得時期を決めましょう。

 

学校現場には、「キリよく学期末まで働いてから産休へ」という空気が、いまだに残っていることがあります。

  • 担任を持っているから、学期の区切りまでは…
  • 引き継ぎのことを考えると、キリのいいところまで…
  • 周りの先生に迷惑をかけたくないから…

このように考える先生の責任感は、本当に立派なものです。

 

しかし、産前休暇の開始を遅らせることには、知っておくべきリスクがあります。

それは、出産が予定日より早まった場合、遅らせた分の休暇がそのまま失われてしまうということです。

 

今回は、産前・産後休暇の法的な根拠を確認しながら、損をしない産休の取り方について紹介します。

 

きょういち

これから出産を迎える先生が安心して休暇に入れるよう、制度を根拠から確認していきましょう。

 

※本記事は執筆時点の情報に基づいています。制度の名称・期間・運用は自治体によって異なり、改正されることもあります。実際の取得にあたっては、必ず所属自治体の最新の規定を確認し、管理職や事務室に相談してください。

この記事を読んでほしい方
筆者の経歴

高校の数学教員として15年以上授業を行っています。

教職大学院での研修中は、学校運営についても学び、教職員が働きやすい学校の在り方を考えてきました。

家庭では2人の子どもを育てる親でもあり、学校現場の妊娠・出産にまつわる制度について、当事者の立場も経験しています。

産前・産後休暇の法的根拠を確認しよう

中堅先生

そもそも産休って、いつから取れるものなのですか?

きょういち

まず、すべての働く人に共通する労働基準法から確認しましょう。

 

労働基準法では「産前6週間・産後8週間」

労働基準法第65条では、産前・産後休業について次のように定められています。

法令を確認する

これは、雇用形態にかかわらず、働くすべての女性に保障された最低基準です。

 

ポイントは2つです。

① 産前休暇は「出産予定日」を基準に数える
出産予定日の6週間前から取得できます。なお、出産当日は産前休暇に含まれます。

② 産後休暇は「実際の出産日」を基準に数える
出産日の翌日から8週間です。出産が予定日より遅れても、産後8週間はしっかり確保されます。

 

公立学校の教員はさらに手厚い

公立学校の教員は地方公務員ですから、各自治体の条例・規則によって、労働基準法よりも手厚い制度が定められていることがほとんどです。

ここでは、人口の多い東京都と大阪府を例に見てみましょう。

 

東京都の場合

東京都の教職員は「妊娠出産休暇」として、妊娠中と出産後を通じて引き続く16週間以内(多胎妊娠の場合は24週間以内)の休暇を取得できます。

大阪府の場合

大阪府の教職員は、出産予定日の前8週間(多胎妊娠の場合は前16週間)から産前休暇を取得できます。産後休暇は出産日の翌日から8週間です。

  

東京都も大阪府も、労働基準法の「産前6週間」より長い「産前8週間」が保障されているのです。

 

 

自治体によっては、産前産後休暇がまとまっていて、労働基準法の最低週を確保した上で自分でカスタマイズできる場合と、8週−8週が法令によって決められている場合と多少の差はあります。

各自治体で「休暇ガイドブック」があるはずですから、そちらを確認してみましょう。

 

きょういち

自治体によって名称や細かい運用は異ります。

必ずご自身の自治体の規定に基づいて、管理職や事務室に確認してください。

 

▼東京都・大阪府の休暇は以下から確認できます。

 

「キリよく」取得すると何が起きるか

中堅先生

公務員である教員は、産前8週間も取れるのですね。
でも妻は、学期途中で抜けるのは気が引けると言っていて…。

きょういち

その気持ちはよくわかります。
でも、開始を遅らせるリスクを知った上で判断してほしいのです。

 

産前休暇について、知っておくべき3つのこと

産休の取得時期を考える前に、まず制度の仕組みを押さえておきましょう。

この3つを知っているかどうかで、判断が大きく変わります。

 

① 産前休暇は「出産した瞬間」に終わる

ここが今回の記事で一番伝えたいポイントです。

産前休暇は、実際に出産した日で終了します。

出産が予定日より早まった場合、その時点で産前休暇は打ち切りとなり、翌日から産後休暇(8週間)に切り替わります。

 

② 請求しなかった休暇は、あとから取り戻せない

では、早く生まれた場合に消えてしまった産前休暇はどうなってしまうのでしょうか。

自治体によっては、出産が早まって産前休暇が短くなった場合の調整規定があります。

ただし、その扱いは自治体によって2つのタイプに分かれます。

 

  • タイプA:短くなった分を産後に加算できる(通算16週間を自分で割り振るタイプ)
  • タイプB:加算されない。(産前と産後の休暇が8週ー8週で独立しているタイプ)

 

そして重要なのは、タイプAであっても、調整の対象は「請求していた産前休暇が短くなった場合」に限られるということです。

最初から請求しなかった期間は、調整の計算に入りません。

6週間で申請していれば、守られるのはその6週間だけ。

1週間早く生まれた場合、産前5週間+産後9週間=計14週間。

請求しなかった2週間分は、制度上「存在しない休暇」なのです。

 

タイプBの自治体であれば、影響はさらに深刻です。

6週間で請求していて1週間早く生まれた場合、産前5週間+産後8週間=計13週間しか取得できません。

 

③ 出産が遅れても、2週間の差は埋まらない

出産が予定日より遅れた場合、産前休暇は実際の出産日まで自動的に延長されます。

産後休暇は出産日の翌日から8週間なので、こちらは変わりません。

 

特に初産の場合、出産が予定日より遅れることは珍しくありません。

ただしこれも、8週間で請求していれば「8週間+遅れた日数」、6週間で請求していれば「6週間+遅れた日数」となります。

どれだけ遅れても、両者の差である2週間は埋まらないのです。

 

きょういち

早まっても、予定通りでも、遅れても、どのケースにおいて、8週間で請求しておくことに損はありません。
まずはご自身の自治体がどちらのタイプなのか、必ず確認しておきましょう。

 

3つのケースで比較してみよう

ここまでの内容を、具体的な日付で見てみましょう。

なお、基本的に産前6週間・産後8週間(希望により6週間)は必ず休養しなければならないと定められています。

つまり、産前休暇の開始を遅らせられるとしても、6週間前が限度です。

 

ここでは、出産予定日が9月2日のケースで考えます。

産前休暇取得パターン期日
8週間前から規定通り、7月8日(産前8週間前)から取得
6週間前から「キリよく」7月22日(産前6週間前)から取得
※1学期の終業式後に入るイメージ

 

出産日が「予定通り」「1週間早い」「1週間遅い」の3つのケースで、2人の休暇日数を比べてみます。

 

ケース1:予定日通り、9月2日に出産した場合

産前休暇の請求産前産後合計
8週間前から
8週間
8週間
16週間
6週間前から
6週間
8週間
14週間

 

6週間の請求だと、当然のことながら取得できたはずの2週間を手放すことになります。

妊娠後期の身体で、7月の暑さの中を2週間長く勤務することにもなりました。

 

ケース2:1週間早く、8月26日に出産した場合

産前休暇の請求自治体の制度産前産後合計
8週間前から
タイプA
(短くなった産前分を産後に回せる)
7週間
9週間
16週間
8週間前から
タイプB
(短くなった産前分を産後に回せない)
7週間
8週間
15週間
6週間前から
タイプA
(短くなった産前分を産後に回せる)
5週間
9週間
14週間
6週間前から
タイプA
(短くなった産前分を産後に回せない)
5週間
8週間
13週間

 

産前休暇は出産日で打ち切られます。 

タイプAの自治体(短くなった産前分を産後に加算できる)の場合、8週間の請求を基準に調整され、通算16週間が保たれます。

一方、6週間の場合、請求した6週間が基準となるため、請求しなかった2週間は、調整の対象にすらなりません。

タイプBの自治体(加算されない)の場合は、上の表の通り、総日数がそのまま減ります。

 

ケース3:1週間遅れて、9月9日に出産した場合

産前休暇の請求産前産後合計
8週間前から
9週間
8週間
17週間
6週間前から
7週間
8週間
15週間

 

産前休暇は出産日まで自動的に延長されます。

初産では、出産が予定日より遅れることも珍しくありません。

このとき、8週間の取得であれば合計17週間の休暇を得られます。

しかし6週間であれば、出産がどれだけ遅れても常に2週間分短いままです。

 

きょういち

どのケースでも、8週間の取得の方が多く休暇を取得できています。
場合によっては2週間以上の差が出ることもあります。

 

出産予定日は、あくまで「予定」

出産は、予定日通りに来るとは限りません。

「予定日から逆算してキリのいいところまで」という計画は、出産が予定通りに来ることを前提にした計画です。

その前提は、誰にも保証できません。

だからこそ、規定通り、予定日の8週間前(自治体の規定による)から取得することが、母体と赤ちゃんを守る最も確実な方法なのです。

 

きょういち

出産日は誰にも予測できないからこそ、基準の8週間で請求しておくことが、すべてのケースで最善の選択になるのです。

 

条件や運用は自治体ごとに異なるため、これも必ず事前に確認しておきましょう。

  

「キリのいいところから」と言われたら

中堅先生

もし妻が管理職から「学期末まではお願いできる?」と言われたら、どうアドバイスすればいいのでしょう…。

きょういち

産前・産後休暇は、法律と条例で保障された権利です。
遠慮する必要はまったくありません。

 

産休は「お願いされて取るもの」ではない

産前・産後休暇は、労働基準法と各自治体の条例で保障された、働く人の正当な権利です。

学校の都合や人員配置を理由に、取得時期の変更を求めることは適切ではありません。

妊娠・出産を理由とした不利益な取扱いは、法律で禁止されています。

引き継ぎや後任の配置は、本来、学校と教育委員会事務局が調整すべきことです。

先生自身が休暇を削って調整する必要はないのです。

 

それでも迷ったときは

とはいえ、実際の学校現場では「言い出しにくい」と感じる場面もあるでしょう。

そのようなときは、次のことを思い出してください。

  • 一番大切なのは、母体と赤ちゃんの健康であること
  • 産休の制度は、そのために法律で設計されていること
  • 数週間の勤務の代わりに失うものが、あまりにも大きい可能性があること

 

また、開始時期を決める際には、自治体の規定を根拠として示しながら、管理職や事務室に相談するとスムーズです。

「規定ではこうなっているので、この日から取得したいです」と伝えられれば、それで十分です。

 

「申し訳なさ」は、準備で軽くできる

それでも「周りに迷惑をかけてしまう」という気持ちが拭えない先生も多いはずです。

その責任感があるからこそ、休暇を削る方向ではなく、準備で応えるという考え方をおすすめします。

 

① 日々のコミュニケーションを大切にする

妊娠がわかったら、体調や見通しについて、管理職や学年の先生と早めに共有しておきましょう。

急な体調変化があっても周囲が動きやすくなりますし、産休の開始時期についても相談しやすい関係ができます。

 

② 「お互い様」の人間関係を日頃から作っておく

同僚が体調を崩したとき、家庭の事情で早退するとき、普段から自然に助け合える関係を築いておくことが、いざ自分が産休に入るときの安心につながります。

学校は、誰もがいつか誰かに支えられる職場です。

「お互い様」の文化は、産休だけでなく、すべての教職員の働きやすさを支えます。

 

③ 引き継ぎの準備を早い段階から進めておく

例えば、次のような準備をしておくと、後任の先生の負担がぐっと減ります。

  • 通知表の所見のもとになる生徒の様子を、早い段階からメモに残しておく
  • 授業の進度計画や教材の保存場所を、誰が見てもわかる形にしておく
  • 分掌業務の年間スケジュールと作業手順を、簡単な文書にまとめておく
  • 保護者対応や生徒の配慮事項など、引き継ぐべき情報を整理しておく

 

こうした準備は、産休の開始を遅らせなくてもできることばかりです。

「最後まで自分がやる」のではなく「誰でも引き継げる状態を作る」ことが、責任感の正しい活かし方だと思います。

 

まとめ:産休は「規定通り」が一番の安心

今回は、教員の産前・産後休暇の取り方について、法的な根拠とともに紹介しました。

改めてポイントをまとめます。

損をしない産休の取り方のポイント

 

出産は、人生の一大イベントです。

学校のことは、残った私たち教員と管理職、教育委員会事務局がなんとかします。

だからこそ、これから出産を迎える先生には、制度を最大限に活用して、心と身体の準備に専念してほしいと思います。

 

きょういち

安心して産休に入れる学校文化を、一緒に作っていきましょう。

 

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