
自分の力を伸ばすためにも、目標を高く持つ視点は大切ですね!
そこに自分の「本当に進学したい!」があると、さらに学びが加速していきますよ!
「できるだけ偏差値の高い大学へ行け」
「〇〇大学は君にはもったいない」
そんなアドバイスを聞いたことがある人も多いと思います。
これは一つ大事な視点ですが、学校の進学実績のためだけの発言であることも珍しくありません。
偏差値のみで大学を選択することは、自分の“学びたい”を大事にした選び方でしょうか?
これからの社会では、「自分で問いを持ち、学び続ける力」が必要になります。
今回の記事では、偏差値だけに頼らず、「自分の学びを深めるための大学選び」として、5つの視点を紹介します。

「自分に合った学びの場はどこか?」
そう問い直すことで、大学選びがもっと面白く、意味のあるものになりますよ。
高校教員として、数学を10年以上教えています。
内容をただ教え込むのではなく、「数学の学び方を教える」をモットーに授業を実施しています。
また、キャリア教育や探究活動にも力を入れ、本来の学ぶ意味を考える授業も展開しています。
目次
「偏差値だけで大学を選ぶ時代は、もう終わりにしよう」
「とにかく偏差値の高い大学へ行け」
「あなたには〇〇大学はもったいない」
学校や塾で、このようなアドバイスを耳にしたことがあるかもしれません。
これはみなさんのことを想っている反面、進学実績のための発言であることも珍しくありません。
昭和型の
「良い大学」→「良い就職」→「終身雇用で定年まで働き続けて老後はのんびり」
このようなコースは現在では成り立ちません。
常に変化し続ける社会に対応し続ける。
これからの時代は、何歳になっても学び続ける自律した学習者、その土台となる探究心を持った人が必要とされる時代です。
ですから、高校においても探究活動が推進されるようになってきました。
探究活動をがんばっている人は、「自分の問い」を持ち、「もっと学びを深めたい」という視点を持っていると思います。
大学は入学することがゴールではありません。
大学で何を学び、どんな人と出会い、社会で自分がどのような役割を果たすのか。
それこそが大切な視点です。
ここからは、探究を頑張っている高校生にこそ意識してほしい、“偏差値以外の大学選びの基準”を5つ紹介します。
偏差値以外の大学選び5選
カリキュラムを見る
高校で探究を通じて「問いを立て、自分で調査・分析し、まとめて伝える」という力を育んできた高校生にとって、大学でもそれらを深められる環境は重要な視点です。
専門的な知見を得るために、座って講義を聞くことも大切ですが、それだけでなく自分でテーマを考え、調べ、対話し、発表する。
そのような学びが1年次からできる大学は、探究型の学びに力を入れています。

でもどうやって調べればいいのですか?
カリキュラム・マップとは、学生が修得すべき知識や能力と、授業科目を対応づけた図や表のことです。
カリキュラム・ツリーとは、それらの体系性や順序性、履修科目間の関係などを図示的に示したもので、学生が知識や能力をどのように身に付けてかが分かるものです。

わかりやすい例として、以下のリンクより「カリキュラム・マップ」と「カリキュラム・ツリー」のイメージを掴んでみてくださいね。
カリキュラムを見ることで以下のようなことがわかります。

カリキュラムを把握しておくと、講義形式ばかりの授業でないことなどが分かるのですね!
教授陣の研究内容を見る
高校で探究活動に打ち込んだ人は、自身の興味・関心を広げられているはずです。
新しく関心を持った研究に挑戦したり、自身の探究テーマと大学の研究がつながったりすれば、学びはさらに面白くなります。
また、「あの先生のゼミに入りたい」「この研究を続けたい」という明確な動機は、受験のモチベーションにもなります。

「〇〇学部に行きたい」だけでは、大学の数は山ほどあります。
「この教授に会いたい」が特定の大学を選ぶ志望理由になるのです!

同じ学部でも細かい研究は異なるので、大学の魅力・特色が分かれてきますね!
学生主体の活動の有無を見る
探究学習は、与えられた課題でなく、「自分から学びを創る」力が育成されます。
高校生のうちに、ビジネスコンテストに参加したり、地域でちょっとしたイベントを開催したりする高校生もたくさんいます。
大学生になって自由度が増すと、これらをさらに発展させて、自分の問いをプロジェクトとして動かしたり、仲間と大きなイベントを企画したりすることもあるでしょう。
そのようなとき
- 学生主体の活動が活発な大学か
- 学生のアントレプレナーシップ教育に積極的か
- 起業支援体制のある大学か
などは大学選びの一つの視点となります。
アントレプレナーシップとは、起業家精神や起業家的な行動力、マインドを指す用語です。

検索をすると、以下のリンクのようなページにたどり着けますよ!

チャレンジしたい人には、大切な視点ですね!
実社会との接点を見る
高校生の探究テーマの中には、「地域課題の解決」もよく見られます。
実社会と関わりながら、よりよい社会を創ろうとする姿勢は、まさに探究学習の目的です。
高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 総合的な探究の時間編総合的な探究の時間の目標 引用:
大学でも「現実の社会」とつながる機会は重要です。
大学に進学することで、地域から日本全体に目を向けるのもよいでしょう。
地域の大学では、地元に還元する研究やPBL型の講義を設けている大学も少なくありません。
地域や企業と協働することで、「現場」での学びも深めていきましょう。

ネットで検索をすると、以下のような大学ページがすぐに見つかりますよ!

「大学での学びを社会に活かす」
キャリアとも結びつけられる大事な視点ですね!
共感できる理念をもつ大学か
探究学習を通じて「何のために学ぶのか」を考えてきたみなさんにとって、大学の理念やビジョンに共感できるかは、とても大切な判断軸です。
偏差値が高いからではなく、「この大学の考え方に共感できる」「この大学の教育方針で学びたい」と思える大学だからこそ、充実した学生生活を送ることができます。
高校受験の際にも面接対策として、「校訓」などを調べた人も多いでしょう。
大学は高校よりも、「経営」の要素がより一層強くなります。
ですから、教育の理念や方針は、高校以上に普段の学生生活に反映されます。

少し堅いイメージですが、自分の目指したい方向性と一致するか調べてみます!
まとめ:進路選びこそ、まさに「探究」
今回の記事では、高校時代に「探究学習」が必須になった高校生向けに、偏差値以外の指標をもとにした大学選びを紹介しました。
大学選びは、模試の合否判定や偏差値だけで決めるものではありません。
その前に、「なぜその大学に行きたいのか」という自分なりの理由がなければ、進学後に充実した学びを得るのは難しくなります。
教員として進路指導をしていて感じるのは、偏差値偏重の指導を受けた生徒ほど、第1志望以外の大学に進学したときに目標を見失いやすいということです。
共通テスト後に、「共通テストの自己採点による合否判定」が返ってくると、多くの生徒が第一志望を受験するかどうかを悩みます。
その際、担任との面談のなかで、偏差値のみを根拠として「行ける大学」に決めてしまう場面も見受けられます。
一方で、たとえ第一志望に届かなかったとしても、自分で「この大学にはこういう魅力がある」と語れる生徒は、進学後も前向きに学び続けることができます。
もちろん、受験勉強の努力の成果が実を結び、第一志望に合格する人もいるでしょう。
そのような人にとっても、「入学がゴール」ではなく、その先の学びを充実させるために、今回紹介した視点はきっと役立ちます。
「自分は何を学びたいのか?」
「どんな場所なら、その学びが深まるのか?」
偏差値だけで大学を選ぶのではなく、自分の探究が続いていく場所を、自分で調べ、考え、選ぶ。
それこそが、これからの時代を生きる高校生にふさわしい進路選びではないでしょうか。

進路選択はまさに「探究」です。
高校生までの学びを、ぜひ次のステージにつなげていってください。
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