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提出が目的ではもったいない。よい宿題とイマイチな宿題を見極めて自律した学習を進めよう!

アイキャッチ
生徒さん

学校の宿題に追われている毎日。

なんとか提出しているけど、身についている気がしません…。

きょういち

それ宿題を提出することが目的になっていませんか?

受け身の学習を自律した学習に変えることで、学力向上が期待できますよ!

  • 高校に入ってからというもの、宿題が大量に出て大変。
  • 提出しなければならない宿題が多すぎて、自分の学習ができない。
  • 出さないと怒られるから、とりあえず提出している。

学校の宿題に対して、このように思ったことはありませんか?

そのような人は、宿題との向き合い方を変えてみましょう。

最近では宿題の効果について考え直し、適切な量に減らしたり質を高めたりしている先生も多いです。

しかし、まだまだ一律の宿題を物量思考で出す先生もいます。

 

提出が目的となり、こなすだけの宿題では学力はつきません。

本記事では、よい宿題とイマイチな宿題を見極め、宿題との向き合い方について紹介します。

みなさんの学習の成果が少しでも上がるよう、自律した学習のヒントにしてもらえると嬉しいです。

 

結論を言うと

  • 物量系の宿題は自分に必要なものだけやればよい。
  • 自身の学習計画の中で使えるものは利用すればよい。
  • 成績に反映してしまうなら、推薦をねらっている人だけ最低限取り組めばよい。

宿題は本当に自分に必要かどうかを自分の頭で考えることが大切です。

その上で必要な宿題のみを行いましょう。

それ以外の学習は、自身で計画を立てて取り組むことが学力向上の秘訣です。

これから詳しい紹介していきますので、ぜひ続きも目を通してみてください。

この記事を読んでほしい方
  • 時間をかけて学習に取り組んでいるのに、なかなか成果が出ずに悩んでいる高校生
  • 宿題が多すぎて自分の学習に手をつけられない高校生
  • 他の先生に合わせて宿題を出しているけど、正直なところその宿題に疑問を感じている先生
きょういち

宿題を大量に出すことに疑問を感じている先生にも、ぜひ読んでいただきたい内容です。

筆者の経歴

高校教員として、数学を10年以上教えています。

内容をただ教え込むのではなく、「数学の学び方を教える」をモットーに授業を実施しています。

生徒が主体的かつ協働的に学ぶ授業スタイルを目指しています。

全員一律の宿題を廃止し、生徒一人ひとりの学び方にそって学習をサポートを目指しています。

宿題に取り組んでいるのに成果が出ない理由は、受け身の学習になっているから

生徒さん

宿題がたくさんあって、提出するのがやっと。

時間をかける割には、あまり成果が出ている気がしません。

きょういち

与えられた宿題が本当に自分に必要かどうかは考えましたか?

宿題と聞くと、みなさんはどのようなイメージを持ちますか?

  • 問題集を◯◯ページから△△ページまでやってきなさい
  • 夏休み中にこのワークを一冊やってきなさい
  • 予習として教科書の本文をノートに写してきなさい
  • 単語テストのために単語帳で覚えてきなさい

などでしょうか。

このような宿題って、すべて先生からの一方的な宿題です。

進め方はみなさん自身に考える余地はありますが、内容自体がそもそも自分に適しているのかを考えることはできません。

このような学習は、どうしてもやらされている感覚になってしまい、モチベーションが上がらないものです。

結果、受け身の学習となり、真面目な人ほど提出が目的になってしまうのです。

そもそも学校はなぜ宿題を出すのか。宿題が抱える問題点とは?

きょういち

私の経験から、大量に宿題を出す先生の考えを整理しておきます。

宿題をたくさん出す先生って、どのような想いなんでしょう。

私自身も教員になりたての頃は、宿題を出すことが当たり前だと思っていました。

僕自身の過去と、教員経験の中で見てきた宿題をたくさん出す先生の想いを整理してみます。

なぜ一律の宿題を出すのか
  • 学習時間を確保させたいから
  • 大学受験のための学力をつけさせたいから
  • 授業の復習をさせたいから
  • 授業の予習をさせたいから
  • 授業で扱えなかった内容をやらせたいから
  • 成績に入れたいから

一つずつ簡単に見てみましょう。

「それって宿題を出す理由になるの?」と思うこともあるかもしれません。

だから僕自身は宿題を廃止し、個別支援に方法を変えたわけです。

学校が宿題を出す理由と一緒に、僕が宿題を廃止した理由も書き添えたいと思います。

「確かにその理由なら宿題はいらないな」と感じてもらえると思います。

学習時間を確保させたいから

大学進学を目指す学校において、一番の理由でしょう。

進学をするためには、それなりの学習時間が必要です。

また高校の学習は中学校までと比べて、学習内容の量が一気に増加します。

中学校まで得意だった教科なのに、授業についていけなくなることも珍しくありません。

そこで中学校までの感覚から高校での学習に切り替えてもらうために、大量の課題を出すことで強制的に学習時間を増やそうとするわけです。

この方針の問題は、

  • 量的な側面のみで質的な志向を踏まえていないこと
  • 生徒を信用していないこと
  • 優先すべきは授業が面白いこと

の3つだと考えています。

高校では「学年+2時間」が全国共通語のようになっています。

このような量的志向は必要な要素ではありますが、それだけになっていることが問題です。

宿題を出すと同時に、どのように取り組むことが大切なのか。

認知心理学のような科学的な根拠をもとに、学習法までセットで提示してくれる先生が少ないのです。

結果ただ宿題を出して、提出させることになってしまいます。

 

次は生徒を信用していないことです。

「宿題を出さないと、どうせ勉強しないだろう」

この発想が大量の宿題を生み出しています。

そもそも授業が面白ければ、「もっと知りたい」「他の問題もやってみよう」となるのが学びの本質です。

「宿題を出さないと勉強しない」は、学習することを嫌いにさせる悪循環となるのです。

まずは授業を面白くすることが先でしょう。

きょういち

僕自身は「数学を嫌いにしない」を心がけています。

数学が難しいから嫌いになるわけではなく、やらされている数学だから嫌になるのだと思っています。

授業内では、数学が得意ではない生徒も友人と協力しながら問題解決に前向きに取り組んでくれています。

授業で貢献するために、自身の進学のために、生徒自身が家庭学習を計画して進めています。

大学受験のための学力をつけさせたいから

夏休みなどの長期休業中に多いのが、このタイプの宿題です。

きょういち

夏休みはどのような宿題が出ますか?

生徒さん

授業の内容とは直接関係がない、模試の過去問を冊子でドン!

1学期中にやった単元すべてを参考書でドン!

って感じです…。

普段の宿題は、教科書でやった内容をしっかり身につけさせることに重きを置くことが多いです。

その結果、大学入試レベルの問題を解かせるために、模試の過去問を冊子で配ったり、普段の問題集とは異なる入試用参考書を解かせたりするわけです。

 

この問題点は、模試の過去問題や入試問題は、生徒によっては難易度が適切でない場合があることです。

一つ一つの学習事項を定着させる段階の生徒に、さまざまな知識や考え方を複合的に用いる問題を出す。

そこにサポートはなく、解かせるだけの宿題になっている。

結果何も手がつかずに、答えを写すことになる。

参考書のページを大量に指定するのも同じです。

提出が目的になり、ひたすら解答を写している生徒を何人も見てきました。

これでは学習内容が身につかないのも当然です。

 

また模試の過去問を過度に解かせることで、偽りの偏差値が出てしまうことも問題です。

過去問で問題形式に慣れることで、目の前の模試ではそこそこ偏差値を出すことはできます。

しかし、実際の入試で実力が発揮できない生徒も見てきました。

 

そして何よりも、このような一律の大量課題は、生徒の個別の学習到達度を全く考慮していません。

難しすぎる問題、逆にやる必要のない問題が必ず含まれています。

復習の意味もあるのでしょうが、それは自分で計画的に取り組んだほうが良いのです。

きょういち

「夏休み中の課題は、2年生の1学期にやった内容について、問題集B問題を全部です。」

「あと一年生の時の復習で、入試に向けてチャートIA一冊全部です!」

なんて先生がいて、「さすがに無理でしょ!」とツッコみました。

授業の復習をさせたいから

  • 授業終わりに問題集のページが指定されて宿題が出る。
  • 週末課題として一週間で進んだ内容とリンクした宿題がでる。

これは、授業で扱った内容を早いうちに復習させて定着させることがねらいでしょう。

授業の復習については、授業内で理解できる人もいれば、もう一度解くことで定着を図る人もいます。

ここでも一律の宿題に対する疑問を持ちます。

家庭学習のヒントとして、問題集を薦めるくらいがよいのではないかと僕は思っています。

きょういち

人によって得意不得意科目も異なれば、学習到達度も異なります。

「今日の内容はここだよ。不安な人はやっておくといいよ〜」くらいしか僕は言わないようにしています。

授業の予習をさせたいから

  • 英語や古文の本文をノートに写してくる。
  • 教科書の例題を解いてくる。

このような予習のための宿題が出ることがあります。

こちらについては、本質的に意味のない宿題か、それとも授業と連動した宿題かによって必要度が変わってくると考えています。

 

本文を写してくるのは、何のためでしょう。

先生の説明をノートに書き込む際に、本文が書かれていれば時間短縮になるからでしょうか。

本文を書くことで、古文や英語の文に慣れるためでしょうか。

どちらもイマイチな理由です。

それならコピーでも教科書に書き込むのでも十分です。

 

一方、以下のような目的の予習は効果が期待できます。

効果のある予習
  • 授業での説明が頭に入りやすくなるように事前に分からないところを洗い出す。
  • 協働学習に向けて前提知識を入れて、発展的な学習を授業内で行う。
  • 発表活動のための準備をする。

より頭を使う効果的な授業を行うためには、個人でできる学習を家庭で行っておくことは理にかなっています。

学校は協働的に学ぶ場所です。

個人でできることを学校でやるなら、そもそも学校に来る意味がありません。

きょういち

授業と連動する課題については、僕はよいと思っています。

そもそも学びは、学校の授業だけで完結するものではありません。

全員にとって効果があるものであれば、それは意味のある課題です。

授業で扱えなかった内容をやらせたいから

「チャイムなっちゃったから残りは自宅でやっておくように」

みたいなことありませんか?

このような宿題で提出を求めることはないと思いますが、宿題の一つとしてよく見る光景です。

また発展問題など、授業で全員にやらせるには効果が薄いと思われるものは、得意な人向けに紹介するなどもよくあります。

きょういち

この手の宿題で提出を求められたら、さすがに意見してもよいかもしれないですね。

生徒さん

「宿題出す前に、計画的に授業進めてください!」ですね。

成績に入れたいから

2002年まで成績は相対評価でつけられていました。

相対評価とは、テストの点数を基準に順位をつけ、上から7%・24%・38%・24%・7%の割合で機械的に5・4・3・2・1の評定をつける方法です。

周囲との比較で成績をつける方法のため、クラスや学年内での立ち位置は分かりやすいのが特徴です。

しかし、これでは学習が定着していなくても5がもらえたり、どれだけ頑張っても必ず1の生徒が出るなどの問題点がありました。

そのような背景もあり、学習の到達度に応じて個々に評定を与える絶対評価が始まりました。(※1)

そして同時に導入されたものが、観点別評価という評価方法です。

観点別評価(導入当初)
  • 関心・意欲・態度
  • 思考・判断
  • 技能・表現
  • 知識・理解
観点別評価(現行 高校では令和4年度から)
  • 知識及び技能
  • 思考力・判断力・表現力等
  • 主体的に学習に取り組む態度

これらの観点に従って、どれだけ目標に到達したかを評価するようになったわけです。

ここで難しかったのが、「関心・意欲・態度」(現在は「主体的に学習に取り組む態度」)です。

他の3点と異なりペーパーテストで測ることが難しい能力だからです。

これまでペーパーテストに依存していたことから、苦肉の策で生み出された評価方法が、授業中に手を挙げた数を記録しておくことや提出物を期限内に出せたかをチェックすることなのです。

もちろんこれは、正しい評価方法ではありません。

文科省も注意喚起をしています。

きょういち

宿題を大量に出して、提出期限を過ぎると怒るタイプの先生は要注意です。

提出物はいつ出したかではなく、内容や取り組み方を評価するものです。

すべての宿題が悪なわけではない。よい宿題とイマイチな宿題。

これまで、学校が宿題を出す理由と僕なりの宿題に対する危機感を紹介してきました。

かなり批判的な立ち位置ででしたが、すべての宿題が悪いわけではありません。

家庭学習を行うこと自体は、学力をつけるためには絶対に必要なことです。

そもそも学びとは、学校だけで完結するものではありません。

学校での学びと家庭での学びがうまく結びつくことによって、学習の成果が出るのです。

問題なのは、生徒一人ひとりの学習到達度を考慮せず一律に宿題を出すことみなさんの学力向上につながらない量的志向の宿題なのです。

 

よい宿題とイマイチな宿題を整理してみましょう。

僕なりに対比させてみました。

よい宿題 イマイチな宿題
質的志向の宿題量的志向の宿題
個別最適化されている一律の一方的な内容
事前準備の内容が授業によって深まる時短のための効果が薄い予習
授業を踏まえて、学びがさらに広がるとりあえず復習で問題を解かせる
みなさんの資質・能力の向上につながる代表選びに使うなど学校の都合
課題に対するフィードバックがある提出したかしてないかの評価しかない
よい宿題とイマイチな宿題の例

それぞれ見てみましょう。

質的志向がよい

きょういち

質を重視した宿題は、よい宿題です。

ただワークを解かせるだけの量的志向は、受け身になりやすいイマイチな宿題です。

授業内容をもう一度自分でまとめ直したり、さらに調査をしてレポートにするなど、質的な宿題は全員一律に課題として出しても個々の学びの工夫が優先されるので、このような宿題は効果が期待できます。

個別最適化された宿題がよい

しかし、ワークなどを一律にページを指定し、一方的に出す宿題は効果が期待できません。

きょういち

ただ問題を解くだけなら、人によって取り組むべき学習は異なります。

生徒さん

確かに得意教科は難しい問題にチャレンジできるけど、苦手科目は多分無理…。

ですから一人一人が自身に必要な学びを考え、計画して取り組む課題が効果的なのです。

事前準備が授業で深まることがよい

きょういち

予習した内容をもとにグループ学習で議論を深めたり、プレゼンのための準備をしたりすることは、よりレベルの高い授業をするための準備なのでよいでしょう。

生徒さん

授業に連動する宿題であれば、家庭学習を行うことで先生の説明が頭に入りやすいし、友達との意見交換もスムーズになりますね。

コピーすれば済むような本文を写すだけの宿題など、頭を使わないものは良い宿題ではないのです。

授業を踏まえて学びが広がる宿題がよい

復習については、授業の内容を単元ごとに自分なりにレポートにまとめる課題などはよいでしょう。

答えを見て終わりにならない、自分の頭を使って学習内容をもう一度整理することは、効果的な学習です。

生徒さん

ただ問題を解くだけの宿題って、結局答えをノートに写して提出ってパターンが多いです。

きょういち

一方的に出されてた問題集の課題は、そうなることが多いですよね。

自分が必要に感じて取り組めば、効果的な取り組みになります。

決して問題集に取り組むこと自体が悪いわけではなく、答えのない課題も大切ということです!

みなさんの力がつく宿題がよい

そもそも、みなさんのための課題になっているかも重要です。

生徒さん

「これって、やる意味あるのかなぁ」って時々思うことがあります。

「各学校から作文を一名推薦してください。」

学校には、このような指示が来こともあります。

これを上からの指示で何も考えずに宿題にしている場合は、好ましくないでしょう。

ただ、学校も拒否できな部分もあるのも事実です。

どうせなら生徒の学びにつなげるために、書かせっぱなしにせず、しっかりとコメントをつけて指導し文章力を向上させようとしてくれる先生であればOKだと思います。

この手の宿題は、小学校の夏休みの宿題に多いのですが、読書感想文やポスターなど賞がもらえますよね。

先生が選んだよい作品をコンクールに応募しているのです。

あまり絵が得意でなく、絶対に賞をもらえない人にとっては苦痛です。(僕がそうでした)

その宿題のために、動物や人権を表現する絵の描き方を教わったことはありません。

きちんと教えてくれた上で、ポスターを描くのであれば良い宿題だったのではないかと思います。

フィードバックがもらえる宿題がよい

最後は、課題に対してフィードバックをもらえるかどうかです。

生徒さん

フィードバック?

きょういち

フィードバックとは、コメントなどで評価(アドバイス)をすることです。

レポート等の課題については、どこが良かったか、どこが不十分であったかをコメントしてもらえなければ、自分の行った学習の良し悪しがわからないですよね。

ただ提出したかどうかで成績をつけるのでは、十分にみなさんが力をつけることはできません。

僕自身は問題を解いた自学ノートを提出させる場合に、数式の書き方がいい加減であれば数学が身につくような記述の仕方をコメントします。

また、学習計画のアドバイスを入れることもあります。

もちろん、すべての課題にコメントをつけることはできません。

その他のよい課題の条件を満たしていれば、コメントをしないこともあります。

例えば宿題が授業と連動し、自身の取り組みを振り返る機会があればコメントはいらないですよね。

とにかく、やらせっぱなしの課題は好ましくなと思っています。

よい課題
  • 個別最適化されている
  • 事前準備の内容が授業によって深まる
  • 授業を踏まえて、学びがさらに広がる
  • みなさんの資質・能力の向上につながる
  • 課題に対するフィードバックがある
生徒さん

課題も悪いものばかりでなく、よい課題にしっかり取り組むことで力をつけられるのですね!

きょういち

物量志向の宿題は、イマイチな宿題に該当する場合が多いです。

学習は自分で考えて取り組むことに意味がある

これまで紹介してきたとおり、宿題には効果的なものと、みなさんの時間を闇雲に奪ってしまうものがあります。

与えられたものをただ提出するだけの受け身の学習では、さらに効果が薄くなってしまうでしょう。

特にイマイチ宿題ほど、受け身になりがちです。

授業の復習や受験に向けた学習において、理想は自分で自律した学習が進められるようになることです。

そうすれば本来、宿題という形を取らなくても学びが成立し、一番効果的なのです。

 

最近では、自己調整学習という言葉が話題になっています。

自己調整学習とは

学習過程のすべてに学習者自身が能動的にかかわり,自己の認知活動や行動をコントロールしながら,効果的に学習目標を達成していこうとする学習スタイルのことをいう。

自己調整学習 コトバンク

自己調整学習には以下の3つの要素が必要とされています。

自己調整学習とは
  • 学習する意味を主体的に考えて取り組もうとしている(動機付け)
  • 自身で効果的な学習方法を考えながら学習に取り組んでいる(学習方略)
  • 自身の学習を客観的に把握して、改善を図ろうとする(メタ認知)

これらの要素を働かせながら主体的に取り組むことが、学力向上につながるとされています。

 

学習方略については、こちらの記事でも少し触れています。

アイキャッチ
きょういち

宿題はただ提出する受け身の姿勢ではなく、自分にとっての意味を考え、取り組み方を工夫し、学習を振り返りながら取り組むことが大事です。

宿題が多くて悩んでいる人への対策

生徒さん

そうは言っても、宿題の量は多いし、提出しないといけないし…。

自分で考えて学習する余裕がありません。

クラスの提出物と授業の提出物は本質が違う

きょういち

宿題=提出の考えをまずは取り払ってみましょう!

そもそも学校の提出物には2種類あります。

「クラスで担任の先生に提出するもの」と「授業で提出する勉強に関するもの」です。

これらの提出物は、本質的に違いがあります。

クラスの提出物は期限までに出さなければいけない

クラスの提出物の例
  • 補習の申し込み
  • 保護者会の出欠席
  • 文理選択の用紙 など

クラスの提出物は、提出が遅れることで他者に迷惑がかかるものです。

補習の申し込みは、人数によって教室の割り振りを決めないといけません。

保護者会の申し込みは、資料の準備などがあります。

文理選択では、教科書担当の先生が教科書の注文を進めたり、クラス分けを担当する先生が準備をしたりします。

さらに文理の人数によって来年度の授業数が変わるため、教育委員会に申請をして特定の科目の先生を増やしてもらうお願いをするなど、人事も関係してきます。

このようにクラスの提出物は、自分のことでありながらも多くの人の仕事に関わっているものです。

社会に出て仕事を始めてからも、納期が間に合わない、資料が揃っていないなどを繰り返していては決して信用されません。

ですから、クラスの提出物はこれから社会に出る準備段階として、期限を守らなければならないのです。

ワークなどの物量志向の提出物は期限までに出す必要はない

一方、ワークを解くなど学習に関する提出物はどうでしょうか。

学習は自身の学力向上のために行うものです。

3日でマスターする人もいれば、1週間かかる人も当然います。

それなのに、一律で課題を出して、期日を決めて提出をさせることに本質的な意味はありません。

たまに、「期限内に量をこなす力をつけるんだ」などと言っている先生も見かけますが、それは本末転倒です。

数学ができるようになるために数学の宿題を出すのに、根性を身につけるのは目的が違います。

ですから学習に関する宿題は、基本的に自分のためにしっかり取り組み、提出になっているのであれば終わった段階で提出すればよい、と僕は思っています。

生徒さん

宿題は提出するためではなく、自分のために行うものですよね!

きょういち

ただし、レポートなど質を重視する課題の場合は、先生がコメントを返してくれるはずですから、できれば期限通りに出しましょうね。

このような宿題は成績に入れる価値がありますので、期日までにしっかり出しましょう。

意味のある宿題だけ取り組む

ワークなどの宿題は期限通りに出す必要もないですし、自分にとって意味のないものはそもそも取り組む必要もないのです。

物量志向の宿題は、自身の学習の動機づけとしてふさわしいものだけ取り組み、先生からのフィードバックをもらうために提出をすればよいのです。

大切なことは自分自身でしっかりと学習計画を立てることです。

その上で、必要な学習がたまたま宿題と一致していれば、宿題を利用すればよいのです。

もちろん、言われた問題を全部解くのではなく、自分が解けない問題やもう一度確認したい問題だけでよいのです。

そうすることで、無駄な学習に時間を費やされることなく、本当に必要な学びに時間をかけることができ、成績向上につながるでしょう。

宿題の提出を成績に入れると言われたら

とりあえずワークの宿題が出る。

フィードバックもなく、チェックしたがどうかもわからない状態でノートが返ってくる。

このような宿題を提出してないことで、評価を下げると言われたらどうすればよいでしょうか。

きょういち

就職や推薦入試で評定が必要な人は、全部やらずに必要なとこだけやって出せばよいと思います。

一般入試で大学受験をするなら、評定は関係ありません。

そもそも、意味のない宿題をやってる方が入試の学習ができずに苦労します。

ですから自分で計画に的に取り組み成果が出れば、提出したかどうかなんて関係ありません。

 

一方、評定が必要な人は必要最低限の内容に取り組んで提出をしましょう。(※2)

あくまで自分に足りないところを考え、自分の意思で宿題を利用して学習を進めることが大切です。

期限通りに出した出さないで成績をつけているような場合は、中身まできちんと評価していることは少ないでしょう。

すっぽかしだけを避けて、必要な部分だけ取り組んで出せば、自分のための学習時間も確保できますし、成績にも悪影響は少ないと思います。

まとめ:効果的な宿題に取り組みながら、自律した学習を創り上げよう

本記事では、「提出が目的ではもったいない。よい宿題とイマイチな宿題を見極めて自律した学習を進めよう」というテーマで話を進めてきました。

宿題には、意味のあるよい宿題とあまり意味のないイマイチな宿題があります。

イマイチな一律の宿題を出してしまう理由は、

なぜ一律の宿題を出すのか
  • 学習時間を確保させたいから
  • 大学受験のための学力をつけさせたいから
  • 授業の復習をさせたいから
  • 授業の予習をさせたいから
  • 授業で扱えなかった内容をやらせたいから
  • 成績に入れたいから

これらは、自分事としてしっかり取り組めば、それなりに力になるのですが、あまりにも受け身の学習であるため、実際にはあまり効果が期待できません。

そのため、自分自身で宿題の必要性を吟味し、必要な宿題を行うことで少しでも主体的な学習に変えていく必要があります。

そして空いた時間で、自律した学習計画を立てながら自己調整学習を進めることで、学習の成果を上げることができるでしょう。

自己調整学習とは
  • 学習する意味を主体的に考えて取り組もうとしている(動機付け)
  • 自身で効果的な学習方法を考えながら学習に取り組んでいる(学習方略)
  • 自身の学習を客観的に把握して、改善を図ろうとする(メタ認知)

そもそもワークなどの課題は、提出が目的ではありません。

自分なりに学習に取り組み、成果が出れば文句はないはずです。

それでも、成績をちらつかせて未提出を指導されるのであれば、評定が必要な人のみ必要最低限の内容だけ取り組んで提出をすればよいのです。

さいごに

この記事を書こうと思ったきっかけは、勤務する学校の生徒が大量の宿題で悩んでいる姿を見たことです。

その生徒は、大量に出される宿題を提出できずにいました。

担当学年の先生は、提出ができないことに対して厳しく指導をしていました。

その生徒は自信を無くした結果、学校に来ることが難しくなってしまったのです。

素直で真面目な人ほど悩んでしまいます。

 

当時、学年も異なり授業も出ていなかったことから、僕はその生徒に何もできませんでした。

そのような経験から、意味のない宿題で悩んでいる高校生が世の中にもっといるのではないかと思い、この記事を書きました。

同じように悩んでいる人が、少しでも前向きに学習に取り組むための助けになれることを願っています。

注意事項

※1 ここで言う絶対評価とは世間一般に言われているもので、教育評価の経緯として学問的な用語としては扱っていません。

※2 あくまで私個人の意見です。それぞれの学校で、成績の付け方は異なります。ご自身の学校の提出物の扱いを踏まえた上で、自己判断をお願いします。

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